チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー

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【あらすじ】
チェチェン共和国における性的マイノリティに対する誘拐・拷問・殺害の話。同性愛者たちは国家警察や自身の家族から拷問を受け、殺害され、社会から抹消されている。


「ゲイに対する拉致や拷問はない。なぜならチェチェンにゲイは存在しないからだ」チェチェン支配者 カディロフ


ロシアの民間団体が彼らの救出および国外脱出に奔走しているが、チェチェンプーチンは繋がっており、支援者らもまた常に危険と隣あわせにある。そんな危機的状況にもかかわらず、被害者および支援者に対して発行されるビザはあまりにも少ない。
予告編 https://www.madegood.com/welcome-to-chechnya/

 

【雑感】
長野県では松本市で1回だけの上映。日曜昼にもかかわらず観客は10数名。マスコミ取材はなく市議会議員の姿も見えなかった。会場では熱気も感じられず、静かに始まって静かに終了。これが、県内初の同性パートナーシップ制度を誇る自治体の現実。

この映画は性的マイノリティ(特にゲイ)が逃げ惑う実話です。国家ぐるみの誘拐・拷問・殺害を前にして、あまりにも無力な一般市民である彼らは支援者の助けをかりて潜み国外脱出を試みます。

 

著名な投資家ジョージ・ソロスは『まず生き残れ。儲けるのはそれからだ』と言います。ユダヤ人だった彼はナチスの手が迫るなか身分を偽り逃亡を続け、イギリスには無一文で渡り最終的に米国へ渡ります。巨富を築いた今の彼があるのは、大戦中に逃げ延び「生きること」を最優先にしたからでした。だから、逃げることは恥ではありません。逃げることは明日への希望です。


残念ながらチェンチェンで起きていることは、程度の差こそあれ日本でも起きています。もっと言えば松本市でも起きています。ですが、この街で息を潜めて生きている人たちに、この映画を観て絶望しないで欲しいのです。劇中で逃げ延びた人たちの姿に希望を見出してほしいです。そして、貴方の状況が絶望的なら、逃げる準備を始めてください。


私は「裸足で逃げていく」という言葉が好きです。なにも持たず、靴も履かず、目的地もないまま逃げていく。絶望のなかでも強く生きる意志を感じるからです。